まだ間に合うなら絶対習得!
ねこは、咬みつくしひっかくし、
それに加えて猫キックというワザを持っています。
体もやわらかいし、ねこといぬと保定方法は違うんです。
いぬもねこも、総じてガッツリ押さえられるのはキライです。
ただ、そうしないとできない処置が時にはあるので、
専門家はガッツリ系の保定をする技術が絶対に必要。
中途半端に押さえて油断するとぶっ飛んでいく。
高いとこに行ったりすみっこに入られたらもうどうしようもありません。
大興奮のねこは飼い主さんすら触れなくなっちゃうことも。
その保定、痛くない?
押さえよう、動かないようにしようとすると、
大抵の人は力任せにやってしまいます。
合気道などの護身術をやったことがある人は知っていると思いますが、
動きを制御するのでは力ではなく関節ワザ。
関節ワザといってもここで言うのはプロレスみたいな痛いやつじゃなくて、
本来の関節の可動域を知って、それを制御するワザを言います。
合気道だと可動域でない方向へ動かすことで、
相手が耐え切れず自分を離すとか倒れるとかってことを利用して護身します。
保定のための関節ワザは、
どちらかというと動きの制御。
しかも痛くない制御です。
だから力づくでギュっと押さえる保定ではないため、
動かそうと思っても動かせない、
ねこは「あれ?」って戸惑うような感じです。
前肢をまっすぐ伸ばしてみよう
痛くない保定の基本として、前肢をまっすぐ伸ばす方法をご紹介。
爪切りなどで嫌がった時には、肘関節を曲げることで手を引きます。
だから肘関節を曲げられない位置に手を添えることで、
手を引こうと思っても上手くひけないようになります。
手または指を入れる部位は肘の骨の後ろです。
解剖学的には肘関節部分の、
上腕骨の尾側(外側上顆)と尺骨の肘頭の間に指を入れ、
軽く前に押すことで前肢が伸びます。
肘関節より前を持つと、容易に前肢が引けてしまうことがわかると思います。
逆に、ここさえキープしていれば、
前肢は絶対に引くことはできません。
ねこの爪切り ~爪を出す~で、嫌がらない手の握り方をご紹介していますが、
これは屈曲反射を出さないための握り方です。
つまりどちらも、解剖学や神経学の知識をちょっと利用しているだけなんです。
保定のための基本
肘を曲げようと思っても曲げられないようにするこのワザは、
獣医師は主に採血の時のための駆血の保定によく利用します。
それについてはいずれご紹介。
動物看護士さんや新米獣医さんのためにいつかアップしようと思います。
飼い主さんがねこを抱きあげるときに、
両前肢を持って抱く場合にはこの位置を握ります。
スキンシップのための抱き上げ方ではなく、
例えばキャリーバックに入れるとか、
テーブルから降ろすとか。
肘関節の後ろを持つことで、
スルリと逃げられることはなくなります。
・・・が、猫キックをお見舞いされることもあるので要注意。
そういう子にはまた別の方法。動画で紹介します。
ちなみにテーブルから降ろすとか、抱き上げるとかって時に、
ねこの胸部を持つ人がいますが、
胸を圧迫するのであまりおすすめしません。
子猫であれば、しつけの意味も込めて首根っこ。
「これ!」って愛情たっぷりに叱りながら首根っこつかんでおろしましょう。
大きな猫ならしっかり両前肢の肘関節の根元を持ちましょうね。